天路の旅人

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 コロナ感染症の流行から3年。今年はそろそろ旅に出たいものと考えていました。そん

な折、バックパッカー (低予算・自由旅行者) のバイブルの書ともいわれる「深夜特急便」

シリーズの作者、沢木耕太郎 氏の新作へのインタビューTV番組を1月初旬に見ました。

新作のタイトルは「天路の旅人」。第二次世界大戦の末期、敵国中国の奥深く、日本軍の

密偵(スパイ)として諜報活動のため潜入し、終戦後は、僧として中央アジアの各地を旅し、

5年後、インドで捕えられ帰国するまでを描いています。

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 この日本人の名前は西川一三。1918年生まれ。日本帰国後、自らの記録を「秘境

西域8年の潜行」として著わしたことにより、沢木氏はこの人物に興味を持ち、直接本人

に面会。途中西川氏が亡くなるも25年の間、今回の著作に至る構想を温め続けました。

何ゆえにそれ程、興味をもったのだろうか。秘境と呼ばれる山岳、砂漠地帯を、身一つ命

懸けの旅。この苛烈なる非日常に対し、帰国後の西川氏は、東北の小さな商店の主として

正月以外の364日働く淡々とした日常を送ります。この大きなギャップのある人生その

もの、特に達観した後半生の境地への共感が本編には込められたものと考えます。

(図書館スタッフ  東空)

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