宝物の1冊

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号泣図書量産作家の最右翼といえば、重松清だろうと私は思います。

読者泣かせの技は、もはや職人芸と言ってしまってもいいかも。

 

そのうまさが鼻につくと感じることもあるへそ曲がりの私は、

彼の本を読んでいて胸がしめつけられるようなせつなさを感じたり、

思わず泣いてしまったりしても、

読者のこんな反応は彼にとっては織り込み済で、

予定調和に過ぎないんだろうなとつい考えてしまい、

物語の世界にどっぷり浸かれないのです。

 

でも、この本だけは違いました。

 

吃音の少年が、小学校から高校を卒業し上京するまでの日々を描いた

重松清の半自伝的小説「きよしこ」

 

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主人公のきよし少年は、自分の言いたいことがうまく伝えられなくて、

そのもどかしさや悔しさ、悲しさから、さまざまな葛藤や悩みに遭遇します。

クリスマスに欲しいプレゼントの名前が言えなくて

もらったプレゼントを泣きながら壊してしまったり、

うまくしゃべれないせいで、クラスメートからのいじめに遭ってしまったり...。

 

一方、普通に話せる(こういう言い方は語弊があると思いますが)私たちは、

ほんとうに言いたいことを伝えられているのでしょうか。

言いたいことを全部言ってきたひとなんているのでしょうか。

 

「大切なことを言えなかったすべての人に捧げる」

この本の裏表紙にはこう書かれています。

 

休前日に自室で読まれるのをお勧めします。

 

(瀬戸のスタッフ・うぱこ)

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